ARCHITECT COLUMN

埼玉県加須市 I 邸

*

気づきがある。発見がある。感動がある。
最適解を導き出すプランニング。

  • 設計 イイヅカカズキ建築事務所
  • 施工 コスモ建設株式会社
  • 所在地 埼玉県加須市
  • 敷地面積 354.06㎡(107.10坪)
  • 延床面積 97.71㎡(29.55坪)
  • C値 0.3
  • UA値 0.43
※インタビュー協力 / 一級建築士
飯塚一樹 IIZUKA KAZUKI
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気づきがある。発見がある。感動がある。家づくりがそんな体験であふれていることを教えてくれるのがこのI邸。子育てを始めたばかりの施主夫妻は、100坪の敷地にリビング階段のある、2階建ての住まいがほしいと考えていた。
そして、要望を聞き、土地を見た建築家から提案されたのは、予想外の平屋。そこから施主が想像しなかった感動の家づくりが始まった。建築家・飯塚一樹氏に発想の秘密を伺った。

Feature.01

Feature.01

Hearing
Hearing

どんな暮らしがしたいのか、どんなものが好きなのか。
叶えたい家づくりのこと、すべて。

「インスタで見たオシャレな家…。私たちの心を捉えたのは、コスモ建設が建築家とコラボした住宅でした」と振り返る施主のI様。無理のない家づくりには土地の購入から気を配る必要があります。プロの目線でのアドバイスや建築費用を含めた総予算の資金計画など、行き届いた提案がコスモ建設からあったようです。 そして、選ばれたパートナーが私(建築家・飯塚一樹氏)でした。
いつも大切にしていることですが、ヒアリングではまず、暮らし方や憧れなど、施主様の夢を全部語っていただきます。
「ずっと居たくなるリビング」「晴れた日は外で楽しみたい」「お篭り感のある空間も欲しい」「開放的で、気付いたら外に出ている」……そんな家が建てたい、とのことでした。その中でヒントとなったのは、「庭でコーヒーを飲んだり、読書をしたい」「バーベキューやキャンプが趣味」ということ。
そして施主夫妻がちょうど、子育てが始まったばかりというタイミングも、設計の骨子として浮かび上がりました。

「平屋は子育てに最適」と嬉しそうに話すI様ご夫婦

「平屋は子育てに最適」と嬉しそうに話すI様ご夫婦

思い出話に花を咲かせながらインタビュー(左から飯塚氏、I様ご夫婦)

思い出話に花を咲かせながらインタビュー(左から飯塚氏、I様ご夫婦)

Feature.02

Feature.02

Location
Location

「本当に、2階建てが必要なのか」土地が呼び覚ます
インスピレーション。平屋の提案がもたらしたもの。

購入された敷地は東西に長い、100坪余りの広い土地。
南側は空き地だが家が建つ可能性のある敷地で、西側にお隣の庭があり、南西に2階建ての家が建っていました。私は土地を見た瞬間、建てたい家のボリュームと土地の関係性から「平屋」が浮かんだのです。ただ、実は施主のI様はここに2階建てをイメージされていたそうです。
といいますか、「家とはそういうものだ」という思い込みがあったと後に話されていました。そのため、平屋をご提案した時は、大変驚かれていました。
とりわけ、奥様はリビング階段や吹き抜けの大空間に憧れていて、この時点ではまだ実際のプランがないため「平屋では私の憧れが実現できない?」と戸惑いのご様子でした。そこからは建築家として、「なぜ平屋が最適なのか?」「どのようなプランでI様の要望を形にするのか?」を丁寧に説明していきました。

オープンな敷地を遮ったり開放したりしながら、理想の空間を構築

オープンな敷地を遮ったり開放したりしながら、理想の空間を構築

植栽にマッチするナチュラルな素材。表情豊かな平屋をデザイン

植栽にマッチするナチュラルな素材。表情豊かな平屋をデザイン

Feature.03

Feature.03

Planning
Planning

2つの庭は暮らしを自在に演出する装置。
両側を庭に挟まれたリビングの開放感。

I邸を設計するに当たり、「2つの庭×開放感×つながり」をコンセプトにしました。「2つの庭」とは、コーヒーやバーベキューなど家族だけの時間を楽しむ「プライベートな庭」と子どもを遊ばせたりする「オープンな庭」のことです。2つの庭に挟まれた明るく開放的なリビングもご希望通りで、室内と室外のつながり、「いつの間にか庭に出たくなる家」となっています。
実は私がこの家で一番提案したかったことは、リビングのソファーに座ると両脇に庭が見えることでした。また、キッチンはそこに立つとリビングやテラス・庭・空を見渡すことができ、育休中の奥様のお気に入りの場所となっています。
ところで、元の選択肢になかった平屋でしたが、住まわれ始めてからお聞きすると、「平屋は最高!」とのこと。「子育てを始めたばかりだったので、むしろ階段は無くてよかった。子育てもしやすい」「開放的な吹き抜けは勾配天井で表現できました。平屋でも吹き抜けのような空間ができることに驚きました」とお褒めの言葉を頂戴しました。

ソファーに座ると左側に広がるのがデッキのある「プライベートな庭」

ソファーに座ると左側に広がるのがデッキのある「プライベートな庭」

右側に広がるのが、芝生を敷いたオープンな庭

右側に広がるのが、芝生を敷いたオープンな庭

Feature.04

Feature.04

Favorite Designs
Favorite Designs

「広いところでのんびりと暮らしたい」。
アウトドア派の施主の心をとらえた最適解。

I様ご夫妻は大のアウトドア派。広い土地を購入されたのもそうした理由から。「広いところでのんびり暮らしたい。趣味のバーベキューやキャンプみたいなことを家でもしたい!」という想いをお持ちでした。
オープンな庭のほかに、プライベートな庭をご提案したのもそのためで、シーンに応じた多彩な庭での過ごし方を実現するためでした。
まさしくI邸は希望される暮らし方を具現化した住まいとなっています。ポーチから土間玄関→土間収納と玄関はワイドに取っていますが、スノボもお好きな施主がここで、ボードをメンテナンスをされることも想定して設計しています。家づくりでは家族それぞれにお気に入りの場所を見つけてもらえるとうれしいものです。
ご主人様はダイニングがお気に入りで、「ビールを飲みながら家の中を見るのが最高!」とのこと。奥様はキッチンがお気に入りで、「以前よりも料理が好きになりました」とうれしいお言葉。
そしてもう一つ欠かせないのが、憧れを凝縮したプランを現実の形に仕上げる施工力です。コスモ建設さんにはその技術力がしっかり備わっているので、安心して最後までお任せすることができます。

造作の洗面化粧台。細部まで丁寧につくり込む

造作の洗面化粧台。細部まで丁寧につくり込む

オープンで明るい平屋を、お子様も自由に歩き回っている

オープンで明るい平屋を、お子様も自由に歩き回っている

坪庭も提案。「ぼーっと眺めるのが好き!」と実は奥様のお気に入りの場所

坪庭も提案。「ぼーっと眺めるのが好き!」と実は奥様のお気に入りの場所

Feature.05

Feature.05

Housing Performance
Housing Performance

玄関からLDKが間仕切り無くつながるオープン設計。
高い住宅性能がプランの可能性を最大限に引き出す。

I邸をご覧いただければ分かりますが、このお住まいは間仕切りがほとんどなく、開放的です。それを可能にしているのがコスモ建設の住宅性能の高さです。
気密・断熱性が低いと冷暖房効率のために空間を細かく仕切る必要がありますが、性能のベースが極めて高く設定されているので、こうしたことを意識する必要がありません。コスモ建設と共につくる住まいの場合は、プランの幅がどんどん広がっていきます。例えば、玄関からダイレクトにつながるリビングや、行き止まりのない回遊動線も思いのままです。プランの現実性には、どこの施工会社と組むかも重要なポイントです。
また、I邸で見ていただきたいもう一つのポイントはパッシブ設計を取り入れていること。太陽光など自然のエネルギーを生かす設計手法ですが、冬は陽光をたっぷりと取り入れるため南側に大きな開口を設け、夏は西日を遮断するためリビング西側をオーバーハングさせて軒とするなど、自然と共存する家づくりも重要なテーマとしています。

玄関からオープンな設計に欠かせないのが、高い住宅性能

玄関からオープンな設計に欠かせないのが、高い住宅性能

LDKから玄関を見る。行き止まりのない回遊動線

LDKから玄関を見る。行き止まりのない回遊動線

Profile

* 建築家
Profile
一級建築士 飯塚一樹 IIZUKA KAZUKI
  • 1977年 新潟県生まれ
  • 2000年 工学院大学工学部第一部建築学科建築学コース 卒業
  • 2000 ~ 2007年 新潟県内設計事務所勤務
  • 2007年 イイヅカカズキ建築事務所 設立
  • 2019年 株式会社イイヅカカズキ建築事務所に法人化
  • 趣味:キャンプ、車(THE BEETLE DUNE、DEFENDER)、ディズニーランドへ行くこと